寒い家は人権無視?
これから家を新築するときに性能を気にしないという方はあまりいないのではないかと思う。でも性能なんて断熱材が厚けりゃ良いんでしょ、という人向けに文章を書いて見たいと思う。断熱に詳しい人向けではない。
なぜ家の性能が大事なの?
単純に夏暑くて冬寒い家に住みたくないでしょっ、ていう話が根本なんだけど、それってそんなに大事なことなの?別に寒くても服を着れば/シャワー浴びて通風すればいいじゃんって思う方達もいるかもしれない。
しかし冬寒く夏暑い家は重大な健康被害をもたらしていると言い切っていい。後述するが、ある程度長い目で見れば性能をあげることは節約にも繋がるので、21世期に作る家はある程度の断熱性は必須と言えるだろう。
まず、最近何かと話題のWorld Health Organization(WHO)は国際的な推奨基準を出していて、健康に悪影響を及ぼす室温が何度なのかを正確に表すのは難しいとしながら、19℃から24℃が望ましいとしている。
そもそもなんで19℃?っていうのは「International Journal of Cardiology」(国際心臓病ジャーナルとでも訳しておく)に2014年に載った「Indoor temperature below 18°C accounts for 9% population attributable risk for high blood pressure in Scotland」(スコットランドの人口の9%を占める、室内温度が18℃以下の家が高血圧症のリスクを高めている)という論文が元になっているようだ。
残念ながら有料だったので中身は確認できていないが、査読付き論文なので信頼は置けそうに思う。
また、日本の研究者では近畿大学の岩前教授は家の性能が高まることで冷え性、アトピー、アレルギー、喘息など様々な症状が軽減されることを示唆している。
さらに、慶應大学の伊香賀教授によると「18度未満の寒い家」は脳を壊し、寿命を縮めるというコラムで「40代から80代まで150人の脳画像を基に、脳の神経線維の質などを点数化すると、冬季の居間室温が低い家と比べて、5度暖かくなることで脳年齢が10歳若く保てるのです。当然認知症の発症も遅くなるでしょう。寒い家では室温の変化が激しい。それによって血管の拡張収縮が繰り返されて動脈硬化が進行しやすく、脳が早く劣化してしまうと考えられます」(伊香賀教授)としている。
ヒートショックで死亡する人も毎年1万人以上出ているようで、交通事故死亡数をとっくに抜いており、かつ下記資料に高齢者が3/4とあるのでと恐るべき確率の死亡だと言える。
嘘か真かドイツ語ができないので確認できないのだが、ドイツでは室温が19℃以下は基本的人権を損なうと規定しているという話もあるが、寒い家の健康被害の話を聞くとあながち間違って居ないようにも思えてくる。
では結局どのくらいの性能を求めていくべきなのだろうか。
国やその他の基準をもとに話をしようと思ったが長くなったので次回以降に書くことにする。